公益社団法人・日本山岳会さん主催で、初心者向けのオンライン登山講習会がこのGW中開催されるとのことで申し込んでみました。講習会は、ZOOMを使って、PCやタブレット、アプリで講習会にWEB上で参加するというもの。
今回は「はじめての山登り」というテーマで、登山靴や歩き方、服装、雨具、行動食などのお話でしたが、特に登山靴などの道具のお話のときには、講師の方が実際に使っているものを色々見せてもらって(講師の方は自宅から配信なので、会場まで色々な道具を持ち込まなくて良い)、実物を見ながら講義を伺うことができたので、とってもわかりやすかったです!
周りに登山経験者がいるわけでもなく、書籍やネットなどの情報、そしてゆっくりゆっくり、無理ない範囲で、ほんとすこーしずつのステップアップしながらの私の登山。初めてのプロの登山講習会。1時間半の講習会はとっても勉強になりました。
またいつか、コロナが収束して、今まで山に行っていた方にも、これから山に行ってみようという方にも、何か参考になれば良いなと思い、まとめてみました。
山登りに、いっちばん大切なのは「登山靴」と「歩き方」
登山靴の選び方
近所や低山のハイキングに慣れてきて、これから本格的に登山を始めたい!と思ったら。まず初めに手に入れたいものが、自分の足に合った登山靴。
登山靴は大きく3つの種類に分けられます。
ハイカット、ローカット、そしてその中間のミドルカット。
ハイカットはくるぶしを全部覆って保護してくれるもの。
ローカットは、くるぶしが全部出ていて動きやすい
どのように使い分けるかと言うと、
ハイカットは重い荷物を運ぶ時、ごろごろした道を歩く時。足を安定させるためまた足首を捻挫させないために保護するもの。荷物が重く大きくなるテント泊や山小屋での縦走。また本格的な登山道歩くときに適してます
ローカットは、くるぶしが出ていて動きやすく、軽いです。足元がそれほど悪くないハイキングやトレッキングに適しています。
ミドルカットは足首を保護しながらそれでいて軽いので、ちょっとしたハードなところに行く時に適しています。
どの登山靴がいいか。「シンデレラフィット」する靴を選ぶには、実際に登山用品店に行って、足型を見てもらい試着すること、これに尽きます。
(以前、冬山用登山靴を購入しにいったレポートは、過去ブログご参照ください)
受講者からの質問に、「登山靴が重くて足がフラフラしてしまうから軽くて歩きやすい靴は無いか」という質問がありました。講師の方は軽くて歩きやすい靴を選ぶことも大事だけれども、まずは筋力をつけることそれも大事だと思うとアドバイスされてました。
私も、はじめのころ、ハイカットの登山靴は、普段履き慣れているスニーカーと比べて、重く足首が動きづらく、しんどかったです。ただ、ハイカットのしっかりしたホールド感、でこぼこした岩場でも滑らず歩ける安心感。慣れてくると重さは気にならなくなりそれよりもこのホールド感と安心感があるから、基本的にどんな山でもハイカットの登山靴を履いています。
ちなみに私が今気に入ってはいているのは、キャラバンのGK84。
これしてから、下りで足の小指の側面が痛くなるのが無くなりました。まさに「シンデレラフィット」する登山靴の快適さを実感しています。
登山靴は、靴紐の締め方も大事。
ポイントは、ここ。
ヒールカップ(かかと部分に入っている部品)と、足の甲の90度に折れ曲がる部分を意識して、しっかりと靴紐で結びつけるイメージです。上写真にあるように登山靴のこの紐ひっかけ部分をしっかりと掛けること。
登山用品店に行けば、店員さんがちゃんとした靴紐の結び方を教えてくれます。店員さんが結びあげてくれた登山靴は、キツすぎずゆるすぎず、絶妙。これを自分でもできるようになれるといいですね。
ちなみに、登山靴の寿命は2~3年と考えておいたほうがいいとのこと。靴底と靴の接着剤の寿命がそれくらい、らしいです。登山中に靴が壊れたら、それはもう怪我をしたのと同じくらい致命的。応急処置として、「テーピング用のテープ」で靴底と靴本体を結束させるのがオススメとのこと。
針金などだと、靴底のゴムにどんどん亀裂が入ってしまうようです。テーピング用テープは伸縮性がないので、応急処置後の歩行時に緩むことがありません。また、靴底のブロックパターンにも入り込むので、テープがしっかり密着してくれるそうです。登山用の救急セットの中にこのテーピング用テープは入れておくのが良さそうですね!
歩き方のコツ
登山靴のブロックパターンを意識せよ!
ブロックパターンとは、靴底の裏のポコポコのこと。
ちなみに、登山靴の裏を見ると、黄色いマークがついています。こちら「ビブラムソール」の証で、このビブラムソールが滑りにくく耐久性にすぐれ、登山道の足元のグリップ力を発揮してくれています。
この靴裏のブロックパターンすべてを有効活用するために、登りも下りも、基本は「フラットフッティング」を意識すること。足裏全体、この靴底のブロックパターン全体を均一に地面につけるイメージ、です。
そうすると、自然と歩幅が小さめになります。大股で歩くと、後ろにした足を戻すときに、どうしても蹴り上げてしまうと思います。
この蹴り上げる感→ブロックパターンの接地面積が小さくなる→滑り止めの面積が小さくなる→滑ってしまう。ってこと。
特に急勾配の下り道になると、腰がひけます。→かかと重心になります→足裏に均一に荷重がかかりません→滑ります。
これ、わたし、よくあるある、です(汗)。
特に急勾配な下りって、下山時に多く出くわします。下山時って、体力も気力も落ちてるので、踏ん張りがきかなかったり、気が緩んでいたり。
あくまでも、登山道の勾配と平行に、足裏を均一に置く。ですね。
トラバースの山側と谷側の足の置き方
トラバースは、このように山の斜面に対して横切ることを言います。
トラバースは事故発生が多い場所でもあります。右足と左足で、足元の傾斜が違うので歩きづらいところでもあります。特に山側の足が置きづらいので、そこは十分に注意です。あくまでも山側も谷側も、フラットフッティング。そして、なるべく山側にある、木や岩などつかみやすいもので確保すること。
利き足が、山側にくるか谷側にくるかで、これも歩行感覚が違ってきます。
なるべく慎重に、焦らず、一歩ずつ確実に進めることが大事ですね。
トラバースの場所は登山道が狭いことも多いので、混雑する場合は他の登山者と譲り合いになることもあります。
登山道での人とのすれ違い方(事故が多いタイミングでもあります)
基本は、「登る人が優先で、下りの人は回避できるところで待機する」です。が、これはあくまでも原則。場合によっては逆になることもあります。大事なのは声をかけあうこと・焦らせないこと・焦らないこと。
そして待機する場合は、必ず「山側の(できれば)広い場所」で待機すること。
谷側にずれて待機していると、山側を通る登山者のザックが当たって振り落とされるケースが少なくないようです。
鎖場やはしごなど、危険な場所の通過の仕方
鎖場では、岩場に支点のピンが打ってあります。このピンとピンの間の鎖は、原則1人です。(2人になると下の人は振り回されてしまいます。)そして鎖には体重をかけすぎないこと。あくまでも手・足で3点支持。
鉄のはしごを登り下りする場所もあります。はしごは、横滑りしやすいので、特に雨のときなど濡れているときは気をつけましょう。
泥の場所や、砂地の場所の歩行の仕方
基本は「フラットフッティング」です。
ただ、泥の場所だと、靴裏のブロックパターンに泥がしっかり詰まって滑ってしまうこともあります。その場合は、登りはトゥカップ(足先)、下りはヒールカップ(かかと)を使って、蹴り込むような感じで穴を掘りながら歩行する方法もあります。
また、岩の上に砂があるような場所は、とても滑りやすいです。岩の上に乗ったら滑りますが、基本フラットフッティング。いつかは止まります。あわてず、しっかりとフラットフッティングしましょう。
段差の多い場所での足の運び方
木の根がはりめぐっているところ、岩場など一段一段の段差があるところ、は、どうしても飛び降りがちになってしまいます。
これ、繰り返すと、とっても足に負担がかかります。たった30cmの高さを体重70kgの人が飛び降りると、足裏に150~240kgの衝撃が加わるそうです。これを繰り返すと、足裏や膝、とっても負担がかかります。
なるべく、段差はぴょんぴょん飛び降りない。足を置きに行くイメージです。
バテない歩き方
体力・筋力・経験、より、自分自身のペース配分こそが、バテない歩き方のコツ。らしいです。
最初の15分は、ゆっくり、ゆっくり。世間話ができるくらい、本当にゆっくり、ゆっくり。この15分の間に、その日の自分の体調や、温度感(着ているものが暑いとか・寒いとか)、靴紐の締め具合、ザックの背負具合、などなど、の感覚を確かめます。
あとは、30分に1回5分程度の休憩。このときに、水分補給をしたり、行動食を口にしたりします。
ペースとしては、1時間あたりの標高が200~300mが目安。
食べるものも大事。朝ごはんは炭水化物がいいです。ただ、炭水化物がエネルギーになるのは3~5時間後。なので、登山中は、こまめに栄養を補給しながら(行動食を口にしながら)歩くのがいいようです。これ、エネルギー不足でバテてしまう「シャリバテ」。私経験あるんです、、、もう少しで山頂・そこで山ごはんを作って食べる!という感じだったので、お腹が空いているのをガマンして1時間ほど歩いていました。途中、急に体がだるくなり、ふらふら。足が上がらなくなり、休んでもなんだか回復しない。。。完全に「シャリバテ」です。こんなときはすぐにエネルギーになる、はちみつや飴、ウィダーインゼリーなどが良いですね。
あとは、こまめに経験を積むこと。月1回よりも、毎週末行ってるほうが、体力もつくし、どんな場合に自分がバテるか、快調か、だんだんわかってくる。と。
コロナが収束して、また山にいけるようになったら、ぜひ積極的に山に出向きたい!と思います!
「行動食」と「非常食」の違い
行動食は、歩きながらや、途中の小休憩のときに口にするもの。糖分や炭水化物になりますが、飴やチョコレート、柿ピーやゼリーなど、季節や好みによって食べやすいものをセレクトします。ゴミなどを落とさないように、あらかじめ個包装のものは出してジップロックなどにまとめて入れておくのも良いです。
非常食は、道迷いや怪我で、山から下りられなくなってしまう万が一のときの食べ物。これはできれば食べないで下山して、下山後の電車や車の中で食べるとか、そのまま持って帰るくらいのものです。高カロリーのものや、温めて食べるものなど、ドライサラミのようなおつまみや、水やお湯を入れるだけのフリーズドライのものなどがあります。
登山の服装
いちばん大事なのは「レイヤード」の考え
大きくわけて「ベースレイヤー」「ミドルレイヤー」「アウター」の3層構造です。
「ベースレイヤー」は、下着です。一番肌に近い部分で、靴下もベースレイヤーに含まれます。
「ミドルレイヤー」は、体から出た水分(汗)をより肌から遠くに離すとともに、空気層をつくって断熱材の役目となります。(季節の違いによるウェアの調節は、このミドルレイヤーをまずは調整します。)
「アウター」は、ソフトシェルと呼ばれるものが当てはまりますが、役目は「風を止める」ことと「体からの水分は出す」こと。ソフトシェルの製品には『透湿防水機能性』などが期待できます。またレインウエアなどもこのアウターに該当します。
玉ねぎの皮のように、薄く高機能にそれぞれの層(レイヤー)が機能することで、過酷な山でも快適にそして命を守ってくれる服装が構成されます!
山で一番だいじなことは「濡れない」こと
濡れるのは、雨と、自分の汗。
濡れないためには、「雨具」と「ベースレイヤー」こそ大事!
自分の水分(汗)で濡れないためにも、肌に一番ちかいところのもの(ベースレイヤー)が一番大事
ベースレイヤーでおすすめなのが、ファイントラックのドライレイヤー。(以前は「スキンメッシュ」でしたが機能性UPしリニューアルしたようです!)
私は暑がりで汗っかき。秋冬でもちょっと動くと体がすぐ温まるを通り越して、ヘタすりゃ自分の汗で冷えて(いわゆる「汗冷え」)体力消耗する、という不都合な体質。もちろん夏場は汗でびっしょびしょ。
このドライレイヤーは、汗が皮膚に戻ってひっつく感じがなく、発した汗がうまい具合に体から離れていってくれる感じ。(けっこうな汗をかくときは、この上に着るミッドレイヤーは速乾性のある化繊のものが良いです)
とても軽くてコンパクトになるし、縦走で水場があるところでは洗って乾くのも早いです。下着にしては、そこそこのお値段で躊躇しちゃいますが、汗っかきで汗冷えしがちな方にはとってもおすすめです。
足先も大事なので、靴下は1つはスペアを持っていく
冬山はもちろん、夏山でも雨に降られたり、沢に入るような登山道もあるので、靴下が濡れてしまう場合もあります。濡れた靴下で歩きつづけると、靴づれができるときもあります。
レインウェアで一番コスパがいいのは、モンベル のストームクルーザー
レインウェアは、各ブランドから色々たくさん出ています。デザインや色、シルエット、たくさんありますが、なんせ、お高い・・・。
GORE-TEX(ゴアテックス)をはじめとする、透湿防水機能のある素材、縫い目から漏水しないようなシーム縫製、適度なストレッチ性、などなど、求められるものも多いので、機能性があるものほどお値段お高いです。。。
で、このレインウェア。高いくせに買い替えが必要なアイテム、なんです!
透湿防水性が永久的なものではなく、耐用年数はおおよそ5年といったところ。
なので、それなりの機能性でお値段がお手頃なのが、このモンベル さんのストームクルーザー、という方は多いように思います。
ちなみに、モンベル にもこのストームクルーザーとは別のレインウエアもありますが、より軽量だったり、透湿性が高かったり、耐久性が増していたり。モンベル の店員さんの話だと、登山で使う場合はこのストームクルーザーが一番安定感がある、とのことでした。
レインパンツは、このストームクルーザーのなかでも、「フルジップ」タイプが推しです!!!
登山中にレインウエアを着るときって、けっこうな雨がふってきているとき、だったります。(小雨くらいならソフトシェルのジャンパーや、ズボンは、撥水しますので)
で、いざ雨が本格的になってきて「レインウェア着るぞ!」ってなると、少し広めの登山道に出て、ザックを下ろして、ジャンパー着て、と、、、登山靴は泥だらけ。
スーパーの袋を履いて、その上からレインパンツの裾に足をとおせば、汚れない。のですが、これが片足立ちでスーパーの袋に足つっこんでレインパンツに片足入れて、、、、って、結構大仕事!(夏の八ヶ岳で大雨にふられて経験済み・笑)
片足でフラフラよたよたしている間に雨はひどくなるわ、もう泣きそうになります。。。
このフルジップシステムは、めっちゃ履きやすくて良さそうです。(次回の買い替えは、ぜったいコレにしますっ)
なぜ、綿密なレイヤリングが必要なのか
人間は体温が1度下がると、体が震えて(震えることで発熱させる)低体温症へ入ります。また、体温が1度上がると熱中症になります。
こんな風に、人間の生命はとても繊細な温度域である、ということを頭に入れておかなければいけません。
山という自然の影響をダイレクトに受ける環境。
毛皮ひとつで山をかけめぐる動物たちと比べて、とってもとっても弱いです。だからこそ、知恵をしぼって、自分にあった服装(素材)で山に入ることが、とっても大事、なんですね。
おまけ:ZOOMのオンライン講習会参加の感想
開催時間に合わせてログインすると、多くの方が参加されていました。
こういう講習会、コロナのことがなければおそらくどこかの会場で開催されていたのかな、と思いますが、受講してみて思ったのが、
「オンライン講習会」、参加しやすくていい!
山岳会の会員でない私にとっては、山岳会の講習会って参加してみたいものの部外者だからなぁ、、、と人見知り炸裂(笑)で今までなんとなく行けなかったのですが、
参加者のメンバーや空気感などを気にすることなく、気持ち的にハードル低く参加できました。
オンラインであれば、事前に申し込みしたらメールで当日の参加URLが送られてきて、そこにログインすれば良いだけ。(ZOOMは仕事でもちょこちょこ使っていたので、そのあたりのハードルがなかったからかもしれませんが、ZOOMは1度使ってみればあまり複雑なことはないので、何かの機会に1度使ってみれば良いとおもいます(^^))
会場までの行き来の移動時間がなくて、良い。
講師の方の講義の途中で、その説明の写真を撮りやすくて、良い。
オンライン講習会開催前に、参加URLとともに当日のレジュメも送られてきます。一般的な講習会だと会場で紙のレジュメが配られるので、これをデータで管理するとなると、後からスキャンするとかしなきゃいけない。結局めんどくさくなって無くしてしまうことが多いですが、
このようにレジュメもデータで貰えて、講義中も周りを気にせずタブレットなどでメモを打ち込めるので、全てデータ管理できるのが、いいですね。
もちろん、実際の会場でお話を伺うことのメリットもたくさんあると思いますが、オンラインはオンラインのメリットがあることを、改めて実感しました!
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